MIYASHITA PARK
多様性を受け入れる都市インフラとしての緑の浮き島
美島 康人竹中工務店
応募作品を空間デザイン的視点で語りつくしてください
MIYASHITA PARKは都市公園法の立体都市公園制度を活かし、公園と商業施設、ホテルが一体となって都市における新しい空間体験を提供する施設である。
既存の渋谷区宮下公園は1966年にJR山手線と明治通り、渋谷川に挟まれた線形の敷地にモータリゼーションの影響を受けて下層に都市計画駐車場をもち日本で初めての空中公園としてつくられた。老朽化により耐震性やバリアフリー、安全、倒木のリスクなどの問題から、渋谷区と民間連携によるPPP事業として建替えに到った。
渋谷のストリートから地上約17m上空の公園までを内、外に変化して繋げる立体的なモールと多様な用途構成と渋谷から原宿に抜ける新たな都市動線を創出し、公園のように訪れる人々の思い思いの過ごし方を可能にしている。アイコンとなる緑を纏ったキャノピーは公園からストリートまでを包み込み、都心密集地にありながら開放的で居心地のいい都市空間を創出するとともに、東京のグリーンネットワークに寄与することを目指した。公園やモールのデザインは多様性を受け入れる器としてラフで恣意性を排除した都市のインフラとしての土木的なスケルトンデザインとし、家具や緑、照明により空間にムラを生じさせ、人々の様々な居場所を創り上げた。
Question01
受賞作品の最後のピース(ジグソーパズルを仕上げるに例えて)はどこでしたか?
来場者 コロナ禍においても訪れる人が思い思いの過ごし方をして楽しんでいる様子こそ施設全体で公園としての機能を象徴している。
Question02
空間デザインの仕事の中で、一番好きな事は?
まちづくりとモノづくり、体験できる空間を生み出すこと。
Question03
空間デザインの仕事の中で、一番嫌な事は?
消費されるデザイン、スクラップアンドビルド。
Question04
コロナ禍でのデザインの果たすべき役割とは?
体験のための場所性と人と人の繋がりを生むデザイン。
Question05
リアルとバーチャルを融合させる空間デザインとは?
体験を生むデザイン、必ずしもリアルでなくてもいいが体感できる空間デザイン。
Question06
空間デザインで社会に伝えたいコトは?
空間デザインは時代性や先進性を示唆し、豊かさをもたらすことができる。
Question07
空間デザインの多様性について一言
人それぞれの個性やデザインがそのまま多様性に繋がる。
Question08
空間デザイナーを目指す人へのメッセージ
多様な価値観と実現する技術を学んでほしい。
PROFILE
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美島 康人
竹中工務店
所属 竹中工務店東京本店設計部
経歴 受賞歴等
1965年 東京都生まれ
1989年 早稲田大学理工学部建築学科卒業、1991年早稲田大学理工学部大学院修士課程修了後、竹中工務店入社
現在、竹中工務店東京本店設計部総括部長
1996年 日本建築学会作品選集/グローブコート大宮南中野
1997年 日経オフィス賞 / ノエビア銀座ビル
2007年 グッドデザイン賞/東宝シアタークリエビル
2014年 JCDデザインアワード、JIA優秀建築賞、AACA賞優秀賞
2015年 BCS賞 / 銀座資生堂ビル
2020年 AIA Japan Design Awards他 / MIYASHITA PARK