DSAセミナー

DSA空間デザイン大賞セミナー2016 -講師- 廣村正彰氏 「デザインからデザインまで」

日時:2016年1月15日(金)17:00~18:00
会場:東京ミッドタウン リエゾンセンター

2016年の新春を飾るDSAセミナーは今年度の空間デザイン大賞を受賞された廣村正彰氏をお迎えし、「デザインからデザインまで」と題して受賞作品「エアラス・性能と品質」の制作プロセスを中心に、最近手掛けられた作品を紹介していただきました。

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廣村氏の見事なデザインクオリティーに関心を寄せる来場者の前で、デザイン観を揺るがす意外なプレゼンテーションを展開しました。それは、まず大賞受賞作品「エアラス・性能と品質」の展覧会はエアラス紙の製品そのものの開発から手掛けたトータル・ブランディングの要素と位置付けられている。その紙を手に取り実感したくなる一連のアフォーダンスのデザインだけでなく、エアラス紙の特性を最大限に活かす表現として、北海道に住む100歳10人のポートレートを撮り下ろした写真展が開催されている。それは廣村氏が同時進行で手掛ける別プロジェクト「コープさっぽろの50周年記念の写真展としても展開する企画のものでした。全く異なるプロジェクトやクライアントをデザイナーが見事に繋ぐ。それは日本が抱える技術革新と高齢化社会への問いを、“人への愛のある眼差し”で解こうとする廣村氏の秘かな挑戦でした。
また、手掛けられたパッケージや店舗サインデザインには多くを語らず、“最中のあん”の味づくりに熱っぽく語る姿に驚かされました。「デザインからデザインまで」とは、プロジェクトの本質に深く関わり、デザインに至るプロセスもデザインとして構想し、デザインに帰着させる廣村氏の仕事の流儀。
軽快な話術に感銘を受けた観客からの「言葉の使い方に意識していることはありますか?との質問に廣村氏は、「かつては、しっかり準備して臨んだはずのプレゼンテーションでクライアントから“何を言っているか分からない”と言われてショックを受けた事がありました。以来、あまり用意しないで、その場で相手に理解される言葉で伝えるようにしています」。
美術館の企画展など新しい情報の吸収の仕方についての質問には・・・「最近はあまり行っていない。20代までの記憶が引き出しのベース。例えば、歯ブラシの毛先がナゼそんなカタチに曲がっているのか?という何気ない日常からネタとしての“面白がり”を発見する。人と人が共に感動できる最高のレベルは“笑い” と断言する廣村氏。

わずか1時間でしたが様々な気づきが満載の見事な講演でした。

講師プロフィール

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廣村正彰

Masaaki Hiromura
グラフィックデザイナー
1954年愛知県生まれ。1988年廣村デザイン事務所設立。
グラフィックデザインの他、商業施設や美術館などのサインデザイン、CI、VI計画を多く手がける。
東京工芸大学教授。一般社団法人ジャパンクリエイティブ代表理事。
主な仕事に、日本科学未来館CIサイン計画、横須賀美術館VIサイン計画、9thナインアワーズADサイン計画、すみだ水族館VIサイン計画、あべのハルカスサイン計画、TOTO MUSEUM VIサイン計画、そごう・西武、ロフトのアート・ディレクション等。 2015年11月21日より金沢21世紀美術館にて『金沢でJunglin’』展開催。

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