ウインドウクルーズ

Christmas Window Cruise 2017

去る2017年12月4日、「クリスマス・ウインドウ・クルーズ2017」を開催しました。今回のウインドウクルーズも多くの方に参加していただきました。銀座のウインドウを舞台に第一線で活躍するクリエイターの方々をナビゲーターとして銀座の街やウインドウを1時間半から2時間程度徒歩で廻りました。

本年のデザイナートークは空間デザイン賞2017 金賞を受賞されたコンテンポラリーデザインスタジオWE+の安藤北斗氏と林登志也氏によるセミナーでした。

「時間と現象から生まれるデザイン」をテーマに、テクノロジーや特殊素材を活用した実験的なアプローチを追求するお二人の作品づくりのプロセスやこだわりを代表的な作品と共にプレゼンテーションしていただきました。
「時間」とは移ろいゆくものに対する共感、「現象」とは鑑賞者との原体験の共有を意味し、夕日のマジックタイムや水の滴る風景のような、移ろいや儚さといった人間が本質的に美しいと感じるものを表現したいと語り、それぞれの作品に込めた時間と現象、さらにそこに至るまでの地道な検証秘話などを交えながらご紹介いただきました。

西武渋谷のクリスマスウインドウ『What a Wonderful Christmas』は、4層に重ねた毛糸のタペストリーを巻き取り解ける現象と、変化していく時間軸によって商品が見えてくるという作品で、ウインドウの見え方の検証に2〜3か月かけて作り込んだという事です。2017年本店建て替え後、初となるミキモトのウインドウでは、有機化合物のウレア結晶という印象的なテクスチャーを用い、常に成長する時間を閉じ込めたツリーを演出。『資生堂momentum by KAPPES』では、時間、量、スピード、タイミングなどテクノロジーによって制御された水が描くアートとして、自然と科学技術の融合を試みるなど、様々なアプローチで時間と現象を捉えた興味深い作品ばかりでした。

後半は、ユース委員会担当理事、佐藤寧子氏と和やかな雰囲気の中、ショーウインドウメディアの可能性を語り合い、参加者からもどうやって面白い素材に出会うのか?など積極的に質問が飛び交いました。「全ては妄想から始まり、いつも何が面白いかを考えていて、とにかく手を動かし、地道に実験を繰り返しています。」と語るお二人の話からは、WE+らしいものづくりの原点を感じることができ、学生や若いデザイナーに大きな刺激を与えるセミナーとなりました。

■会場
「ITOKI Tokyo Innovation Center SYNQA」(相互館110 タワー1 F)
■メイン講師/ナビゲーター
we+
■ナビゲーター
入江 陽介   (株)ミキモト/アートディレクター
大月 勝弘   (株)ケー・ディー 代表/クリエイティブディレクター
菊地 泰輔   (株)資生堂/アートディレクター
岸野 桃子   (株)アートディレクター
雲野 一鮮     クモノデザイン(株) 代表/空間デザイナー・ディレクター
浜田 佐知子  (株)資生堂/デザイナー
檜原 由比子  (株)ザ・ギンザ[資生堂]/クリエイティブディレクター・アートディレクター
武蔵 淳    (株)和光/アートディレクター・ディスプレイデザイナー
持木 慎子     持木工房 代表/アートディレクター
山田 祐照   (株)ノムラデュオ/クリエイティブディレクター
ヨザン 弥江子 (株)フォーアーツデザイン 代表/アートディレクター・デコラティブペインター
渡邉 世志治  (株)息吹⼯藝社 代表/アートディレクター
※五十音順

we+

林登志也氏と安藤北⽃氏により2013年に設⽴された東京を拠点に活動するコンテンポラリーデザインスタジオ。
林氏は1980年富⼭県⽣まれ、⼀橋⼤学卒業。安藤氏は1982年⼭形県⽣まれ、セントラル・セント・マーティンズ卒業。
プロダクト・インスタレーション・グラフィックなど、多岐に渡る領域のディレクションとデザインを⾏ない、
テクノロジーや特殊素材を活⽤した実験的なアプローチを追求している。
国内外での作品発表のほか、Gallery S. Bensimon(パリ)やRossana Orlandi(ミラノ)などのデザインギャラリーに所属。
主なコミッションワークとして、Sony、マリメッコ、三越伊勢丹、フィンエアー、森美術館がある。