色部義昭 グラフィックデザイナー/アートディレクター
2014.6.14(火)17:00〜18:00
「年鑑日本の空間デザイン」のアートディレクションを手掛けられている色部義昭氏のセミナーは、言葉の力を感じさせるものでした。印象に残った言葉を軸に振り返って見ます。色部氏は「空間とグラフィックデザイン」について、4つの視点から話を展開されました。
『本は建築に似ている』1.「グラフィックデザインの中の空間」
2011年年鑑日本の空間デザインを基に、あくまで平面の中で頁をめくる際、アニメーションになる様な紙面構成をすることで時間を意識させています。例えば“トビラ”など本のデザインと空間デザインは近いとの認識。
『グラフィックを設計する』2.「室内空間とグラフィックデザイン」
川村記念美術館、山種美術館のサイン計画からはサインで光を取入れたり、矢印と言う一つのモチーフを使って空間に緊張感を生む様、グラフィックを設計しています。
『メッセージが人に運ばれる』3.「開かれた空間とグラフィックデザイン」
BODW2010におけるカルタ風メッセージカードは○に一文字をアイデンティティとしたが、袋の持ち手に活用しながらグラフィックデザインがアイコンとなり、人に運ばれることで空間に伝達されています。
『時間をデザインする』4.「時間と空間とグラフィックデザイン」
千葉県市原市の湖畔美術館、建築と一体化した点線のサイン計画や水の気配を感じさせるデザイン展開。小湊鉄道の赤い帯を大胆に多様なデザインに展開。空間を移動する電車の車両が、見た人の記憶としてコミュニケーションツールとなり、そこに時間をデザインすることとなっています。
その他にも紹介し、銀座の街を8色に色分けしベース色と文字色がリレーする銀座地区サイン実証実験などから、色部氏の色彩と空間のストーリーへの強い意識の話を展開されました。
1974年千葉県生まれ。東京藝術大学大学院修士課程修了後、日本デザインセンター入社、原デザイン研究所などでの勤務を経て、11年より色部デザイン研究室を開設。東京藝術大学非常勤講師。主な仕事に市原湖畔美術館のVIとサイン計画、銀座地区サイン実証実験。「マーク・ロスコ」展や「TAKEO PAPER SHOW 2011-本」の展覧会アートディレクションなどグラフィックデザインをベースに幅広くデザインを展開。SDA最優秀賞、JAGDA新人賞、JAGDA賞、東京ADC賞、D&AD銀賞、ONE SHOW DESIGN金賞・銀賞など国内外のデザイン賞を多数受賞。「年鑑日本の空間デザイン」11年版のデザインに続き、さらに14年から3年間のデザインを担当。